ネットワークセキュリティとは?役割や対策方法を解説

サイバー攻撃がますます巧妙化する現代において、ネットワークセキュリティの強化は重要な課題です。一方で、IT担当者としては「ネットワークセキュリティを強化したいが、何から始めれば良いかわからない」と感じる方も多いと思います。
本記事では、ネットワークセキュリティの基本的な役割や重要性を解説し、外部・内部ネットワークの違いや、実際に発生する脅威について具体例を交えて紹介します。さらに、ゼロトラストネットワークやセキュリティソフト、IDS/IPS、脆弱性診断といった実践的な対策まで網羅し、セキュリティ強化の選択肢を提供します。
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目次
ネットワークセキュリティとは何か
ネットワークセキュリティの役割とは?
ネットワークセキュリティは、企業や組織のネットワークを外部や内部からの脅威から守るための仕組みや対策全般を指します。サイバー攻撃や不正アクセスを防ぐだけでなく、重要な情報を守り、業務を安定して継続するためにも欠かせません。また、顧客情報や機密情報の漏洩を防ぐことで企業の信頼を守る役割も担っています。
ネットワークセキュリティの重要性とは?
近年、サイバー攻撃はますます高度化・巧妙化しており、その被害件数は年々増加しています。警察庁によると、令和5年における不正アクセスの認知数は6,312件となっており、令和元年と比較して2倍以上の増加になっています。
攻撃対象は大企業だけでなく、中小企業も含まれています。コロナ禍やデジタルトランスフォーメーションの推進により、従業員のリモートワーク化やクラウドサービス利用の増加しているなかで、従来のファイアウォールを基本とした、境界型セキュリティでは防ぎきれない攻撃が増えているのが現状です。
一度被害に遭うと、情報漏洩やシステム停止による業務影響だけでなく、取引先や顧客からの信頼喪失、場合によっては法的責任を問われることもあります。このようにネットワークセキュリティは、企業の規模を問わず、企業の継続的な成長と社会的信用を守るために極めて重要な存在となっています。
参考:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況
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外部ネットワークと内部ネットワークの違い
外部ネットワーク
外部ネットワークとは、インターネットを経由し組織外部のメンバーもアクセス可能なネットワークを指します。顧客や取引先などとの情報共有や、一般の方々へのサービスの提供など、企業活動において幅広い用途で利用されています。不特定多数がアクセスする環境であるため、常にサイバー攻撃のリスクにさらされています。
外部ネットワークは、攻撃者にとって不正アクセスやマルウェアを送り込む足掛かりになります。特にフィッシング詐欺やDDoS攻撃などは、外部ネットワークから発生する代表的な脅威です。したがって、ファイアウォールやWebフィルタリング、アクセス制御など多層的な防御対策が必要となります。
内部ネットワーク
内部ネットワークとは、企業や組織内のネットワーク環境を指し、主に従業員が業務で利用する社内LANなどを指します。一見安全に思われがちですが、内部にも脅威は存在します。
例えば、従業員が持ち込んだUSBメモリを介したマルウェア感染や、内部不正による情報漏洩、セキュリティ意識不足による不注意な操作などがリスクとなります。万が一外部から侵入された場合、内部ネットワークに接続できるすべての端末やシステムに対して、ランサムウェアなどのサイバー攻撃が拡大する恐れがあります。そのため、内部ネットワークでも適切なアクセス制御やログ監視、端末管理が必要不可欠です。
ネットワークに対するサイバー攻撃・脅威の例
マルウェア感染
マルウェアは、英語のmalicious(悪意のある)にsoftware(ソフトウェア)の2つの単語が組み合わさった単語で、悪意を持って作成されたソフトウェアを指します。具体的にはウイルスやランサムウェア、スパイウェアなどが含まれます。
これらはメールの添付ファイルを不注意により開封してしまうことや、不正なWebサイトにアクセスすることで内部ネットワークに侵入し、企業で利用している端末やネットワーク全体に被害をもたらします。一度感染すると、重要なデータが暗号化されて業務が停止したり、情報漏洩が発生したりするリスクがあります。さらに、ネットワーク経由で他の端末にも感染が広がることがあるため、企業全体の業務継続に深刻な影響を及ぼします。
関連記事:マルウェアとは?被害事例や企業が取るべき対策を解説
DoS攻撃 / DDoS攻撃
DoS攻撃(Denial of Service攻撃)は、特定のサーバーやネットワークに過剰なリクエストを送りつけ、正常なサービス提供を妨害する攻撃です。DDoS攻撃はDoS攻撃をより大規模にしたもので、複数の端末を利用して同時に攻撃を行う手法です。
これらの攻撃を受けると、Webサイトの表示が遅くなることや、全くアクセスできなくなることがあります。結果としてサービス提供の機会損失が発生し、復旧対応にコストと時間がかかることになります。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、正規の企業やサービスを装ったメールやWebサイトを使って、利用者からIDやパスワード、クレジットカード情報などをだまし取る手口です。
一見本物に見える内容でユーザーを騙すため、社内の従業員が誤って情報を入力してしまうリスクがあります。盗まれた情報が悪用されると、企業アカウントが乗っ取られ、取引先に不正なメールを送るなど二次被害が発生する可能性もあります。
脆弱性を悪用した攻撃
脆弱性とは、システムやソフトウェアに存在する不具合や設定ミスを指します。攻撃者はこれらの脆弱性を突いて侵入し、不正操作や情報漏洩を引き起こします。
特に、外部ネットワークに設置してあり、かつ修正プログラム(パッチ)が適用されていないシステムは格好の標的になります。このような機器が攻撃を受けた場合、内部ネットワークへの侵入などを許し、業務システムが停止したり、社内の重要なデータのお漏洩・改ざんが発生したりする恐れがあります。
中間者攻撃(MITM攻撃)
中間者攻撃は、通信の途中に攻撃者が入り込み、データを盗聴・改ざんする手法です。
例えば、リモートワークなどを行う際に公共Wi-Fiなど暗号化が不十分な環境でログイン情報を送信した際に発生することがあります。攻撃者はユーザーとサーバー間の通信内容を傍受し、入力されたIDやパスワードを盗み取ります。盗まれた情報が不正利用されることで、外部ネットワークに接続する取引先との通信を偽装されることや、内部ネットワークに侵入されデータ漏洩を引き起こすなど、企業のネットワーク全体に被害が及ぶ可能性あります。
対策には、ネットワークの暗号化通信を徹底することやVPNの活用が必要です。
ネットワークセキュリティで有効な対策
ゼロトラストネットワーク
従来の境界型防御は「社内は安全、外部は危険」という前提で設計されていました。しかし近年では、標的型メール攻撃など、内部ネットワークに侵入されるリスクも高まっており、この考え方では不十分です。また『社内は安全』の考え方に基づき、内部ネットワークがノーガードの状態だと、侵入された際の被害が拡大することもあります。
ゼロトラストネットワークは「トラストネットワーク(安全なネットワーク)をゼロにする」を前提に、全てのアクセスや通信に対して都度認証や確認を行う仕組みです。
例えば、社内ネットワーク内の端末やユーザーであっても、常に認証を求め、行動を監視します。この考え方を取り入れることで、万が一侵入された場合でも被害を極小化・拡大を防ぐことができます。
クラウドサービスやリモートワークが当たり前となっている今は、ゼロトラストネットワークは現代に適したセキュリティモデルです。
セキュリティソフトウェアの導入・最新状態の維持
セキュリティソフトウェアは、ウイルスやマルウェアなどの脅威から端末を保護するために不可欠です。近年、ランサムウェアをはじめとした各種マルウェアは日々進化し、企業における大きな脅威となっています。そのため、インストールして終わりではなく、マルウェアを検知するための定義ファイルを常に最新状態に保つことで、新たな脅威にも対応できるようにしておく必要があります。
また、従業員全員の端末に適切に配布・設定し、使い方の教育も行うことで、組織全体のセキュリティレベルを高めることができます。
ネットワークの防御力と侵入検知力の強化
ネットワーク防御の基本はファイアウォールですが、これだけでは不十分です。ネットワーク上にIDS(侵入検知システム)やIPS(侵入防止システム)を導入することで、不正アクセスや異常な通信をリアルタイムで検知・遮断できます。
例えば、通常と異なる大量通信が発生した場合に管理者へ通知し、迅速な対応を促します。また、利用しているサーバーや端末にEDR(Endpoint Detection and Response)を導入し、内部ネットワークなどに攻撃者が侵入した場合でも異常な挙動を検知できるようにしておくことが重要です。
こうした仕組みを取り入れることで、攻撃を未然に防ぐだけでなく、攻撃兆候を早期発見し、被害を最小限に抑えることが可能となります。
定期的な脆弱性診断
定期的な脆弱性診断は、ネットワークやシステムの弱点を早期に発見し、対処するために欠かせません。特に、攻撃の対象となる可能性が高い外部ネットワークに設置しているシステムや機器については、構成や資産情報を把握し、常に脆弱性がない状態にしておきましょう。
脆弱性診断は様々なツールが提供されており、自動かつ低コストで診断を行うことが可能です。外部専門機関に依頼することも可能で、その場合は第三者の視点で問題を洗い出せます。
診断結果に基づいてシステムの設定を見直し、修正を行うことで、未知の攻撃リスクを減らすことができます。例えるなら、健康診断のように定期的なチェックを行うことで「重大な問題が表面化する前に予防できる」ことが大きなメリットです。
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