Cloudflareとは?機能や料金、導入の注意点について解説

更新日:2025.10.10
Cloudflareとは?機能や料金、導入の注意点について解説

近年、WebサイトやWebサービスを運営する企業にとって「セキュリティの確保」と「快適な表示速度」は切り離せないテーマです。攻撃や障害によるダウンタイムはビジネスに直結するリスクであり、ユーザーが離脱する原因にもなります。
そこで注目されているのが、世界規模のネットワーク基盤を持つCloudflare(クラウドフレア)です。
本記事では、Cloudflareの仕組みや主な機能、AWS WAFとの違い、導入方法、料金プランまでを解説します。

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Cloudflareとは何か

Cloudflareは、世界中に分散したサーバーネットワークを活用し、Webサイトのセキュリティ強化と表示速度の最適化を同時に実現するサービスです。Cloudflareが備えている代表的な役割は以下の通りです。

  • CDN(Content Delivery Network)
    ユーザーに近いサーバーからコンテンツを配信し、表示を高速化する機能です。海外からのアクセスでも快適に閲覧可能。
  • WAF(Web Application Firewall)
    Webアプリケーションに対する不正なアクセスや攻撃(SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど)を防御します。
  • DNS(Domain Name System)
    Webアプリケーションなど、インターネットを介して利用するためにはIPアドレスが必要ですが、IPアドレスとURLを紐づけるサービスがDNSです。独自の高速・高信頼なDNSサービスを提供し、障害時にも迅速な切り替えが可能です。
  • SSL/TLS通信
    Webアプリケーションに接続するための暗号化を自動で行い、HTTPS対応を容易に実現します。
  • DDoS対策
    DDoSとは、大量のアクセスを攻撃対象のWebアプリケーションに飛ばすことで、サーバーの停止などを狙う攻撃です。このような大量アクセスによる攻撃からシステムを守ることができます。

つまり、Cloudflareは単なる「セキュリティツール」ではなく、Webサイトの安定運用をトータルに支える基盤といえます。

主な機能と特徴やメリットとは?

Cloudflareを導入するメリットは多岐にわたります。Web運営者から「これができて助かる」と評価されるポイントを整理します。

  1. 複数サイトの一元管理
    Cloudflareでは、複数のドメインをまとめて管理可能です。AWS WAFのようにサイトごとにルールを設定する必要がなく、運用コストを削減できます。
  2. 高速化によるユーザー体験向上
    CDNとキャッシュ機能により、画像や動画が多いサイトでも表示がスムーズになります。これにより、国内のみにサーバーを置いても、コンテンツが世界中のサーバーにキャッシュされるため、世界中の人がスムーズにアクセスできるようになります。たとえばECサイトでは「ページ表示が1秒遅いと売上が数%減少する」と言われますが、Cloudflareはこの課題を解決します。
  3. セキュリティ対策の自動化
    CloudflareはSQLインジェクションや不正ボットを自動的に検知・遮断できます。
    誤検知を避けたり、自社のシステムに合わせたルール調整を行うには、導入後も継続的な監視とチューニングが必要です。
  4. 運用負荷の軽減
    従来は「セキュリティ」「速度改善」「証明書更新」などを別々に管理する必要がありました。速度が十分に達しているサーバーでも、証明書の更新漏れにより接続時に警告が出ることや、そもそも接続できなくなるといった問題が発生する可能性がありますが、Cloudflareはこれらをワンストップで提供するため、担当者の工数を大幅に削減します

AWS WAFとの違い

よく比較されるのがAWS WAFです。両者の違いを簡単に整理します。

  • 管理・保護対象の単位
    AWS WAFとCloudflareは管理・保護する単位が異なっています。AWS WAFでは「Web ACL」という単位でサイトごとにルールを作成します。Cloudflareは複数ドメインを一括で保護することができます。
  • 導入コスト
    AWS WAFは従量課金制で、ルール数やリクエスト数に応じて費用が増加していきます。一方で、Cloudflareは基本的に定額となっています(Enterpriseプランでは従量課金要素が入る場合があります)。CloudflareもAWS WAFも無料プランがあり、スモールスタートで利用できますが、商用で使う場合は、Cloudflareは月額20ドル以上のプランを利用する必要があります。
  • 機能範囲
    AWS WAFは主にアプリケーション層のセキュリティに特化しています。一方、Cloudflareはセキュリティ+高速化+DNS管理まで包括的に提供します。AWS WAFのみでCloudflareと同等の機能を実現することは難しく、Route53やAWS Certificate Managerなどの他のサービスを組み合わせることが必要です。
  • 柔軟性
    AWS環境において、ログの分析や監視など、他のサービスと連携が容易になっているのはAWS WAFです。逆にAWSに限らないマルチクラウドやオンプレサイトをまとめて守りたい場合はCloudflareが有利です。

関連記事:AWS WAFとは?仕組みや導入方法、設定の流れを解説

つまり、「AWS中心で使うならAWS WAF」「複数環境を一括管理したいならCloudflare」という使い分けがポイントです。

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Cloudflare導入に適したユースケース

Cloudflareは特に以下のようなケースで効果を発揮します。

アクセス量が多いサイト

大量アクセスを高速・安定的に処理可能であるため、ニュースサイトやECサイトなどの不特定多数がアクセスするサイトや、動画を配信するサイトなどのユースケースにおいて、ユーザーエクスペリエンスの改善に役立ちます。

グローバル配信が必要なサービス

海外ユーザー向けのSaaSやWebアプリケーションを日本国内から展開する場合は、海外にサーバーを立てるよりも圧倒的に安価で展開が可能となります。

小規模チームでも運用負荷を下げたい場合

SSL証明書の自動更新やDDoS対策が含まれるため、安全にWebアプリケーションの運用が可能になります。特に、オンプレミスやマルチクラウドなど複数のプラットフォームにわたるサービスを少人数で運用している場合は、運用負荷の軽減や運用ミスの防止に効果的です。

Cloudflareの料金

Cloudflareは無料から始められる点が魅力ですが、導入時にはどのプランを選ぶかが重要です。

  • Freeプラン
    基本的なCDNとSSLを備え、個人ブログや小規模サイト向けとなっています。
  • Proプラン(月額20$)
    WAFや画像最適化機能が追加され、セキュリティと表示速度の両面を強化できます。中規模サイトや、セキュリティの対策が必要となる小規模企業向けのサイトなどに適しています。
  • Businessプラン(月額200$)
    高度なWAFルール、優先サポート、可用性保証を備え、中堅企業やECサイトに適しています。
  • Enterpriseプラン(個別見積もり)
    SLA保証や専用機能を導入可能となります。さらに大規模システムや金融機関などのセキュリティ要件が厳格な企業に向いています。

選定時は「自社のリスク許容度」と「投資対効果」が判断基準となります。
例えば「セキュリティ事故発生時の損害額>プラン料金」であれば有料プランの価値は十分です。予算見積もり時にはアクセス規模や商材単価を考慮し、無料から始めて必要に応じて上位プランに移行するのが現実的です。

Cloudflare導入のステップ

Cloudflareを導入する際は、目的と予算に応じたプラン選びと、段階的な準備が重要です。

1. 費用対効果の検討、プランの決定

まずは料金プランの比較を行い、必要な機能と投資対効果を検討します。小規模ならFreeやPro、中規模以上やECならBusiness、それ以上の要件ならEnterpriseが目安です。導入前の事前準備として、利用するドメイン情報、現行のサーバー構成、SSL証明書の有無を確認しておきます。

2.ドメインのDNS・ネームサーバの設定

次にCloudflareでアカウントを作成し、プランを選択。登録が済んだら、ドメインのDNS・ネームサーバをCloudflare指定のものに変更します。これによりトラフィックがCloudflare経由となり、セキュリティと高速化機能を利用可能になります。

3.設定の最適化と監視体制の整備

導入後は、HTTPSの強制設定、キャッシュ設定、圧縮やコードのミニファイなどを有効化して最適化を行います。また、必要に応じてWAFルールやページルールを追加し、運用に合わせてチューニングします。最後に、アクセスログやアラート機能を活用して監視体制を整備することで、攻撃検知や障害への早期対応が可能になります。

導入後に注意すること

Cloudflare導入後は「入れたら終わり」ではなく、運用フェーズでの継続的な対応が欠かせません。
万が一の障害やトラブルに備え、対応フローや連絡体制をあらかじめ整備しておくことが重要です。Cloudflare側の障害やキャッシュ不整合が発生する場合もあるため、自社で切り替えや一時停止の判断ができる仕組みを用意しましょう。
また、定期的にログやレポートを確認し、攻撃の傾向や不正アクセスを分析することも必要です。サイト表示速度やキャッシュの効き具合などのパフォーマンス測定を実施し、設定を見直すサイクルを回すことで、Cloudflareの効果を最大化できます。

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監修:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 編集部

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