Beyond5G/6Gに向けた超低遅延暗号AreionのOSS公開(2023/07/14)
2023年07月14日 14:00 (JST)
こんにちは、暗号のおねえさんことGMOインターネットグループ デベロッパーエキスパートの酒見(@ysakemin)です。
この度、Beyond 5G/6Gなどの将来の通信技術に向けた低遅延暗号技術AreionのOSS公開第一弾として、リファレンスコードをOSSとして公開しました。
その内容をご紹介します。
OSSの公開先はこちら。
背景
GMOサイバーセキュリティ byイエラエは、兵庫県立大学と共同でNICT Beyond5G研究開発促進事業 委託研究テーマ「リアルタイム暗号技術とプライバシー保護への拡張」に取り組んでいます。
Beyond5G/6Gなどの将来の通信技術では、5G時代と比較して、以下のような違いがあります。
- 100Gbpsを超える通信速度&ミリ秒オーダーの超低遅延
- 5Gを超える超高信頼通信・超多接続&センシング
- あらゆる場所に電波を届ける超カバレッジ拡張
- 持続可能な社会実現に向けた低コスト化
このような高度な技術的要件が要求されていますが、その中でも、当研究グループでは「超低遅延」、「高セキュリティ」に着目し、これらの要件を達成する暗号技術の研究開発および標準化活動を行います。
今回のOSS公開は、Beyond5G研究開発促進事業の一環として、提案する低遅延暗号技術を世の中で広く利用可能な環境を目指し、実施した位置付けとなります。
Beyond5G研究開発促進事業について、こちらをご参照ください。
超低遅延暗号Areionについて
超低遅延暗号Areionは、兵庫県立大学 五十部孝典教授が中心となって研究開発を行なった暗号技術です。
以下の特徴があります。
- 共通鍵暗号(暗号学的置換)
- 認証付暗号(AEAD)およびハッシュへの応用が可能
- Harakaなどの他の置換ベースの暗号応用と比較して、低遅延性を有する
詳細は論文のフルバージョン(以下、Areion論文)を参照ください。
今回の公開対象について
今回の公開対象を以下にまとめます。
- 機能
- 暗号機能
- Areionによる置換機能
- リファレンス実装のため、最適化などは行っておりません
- AreionのAEADへの応用
- Areion-OPPモード
- Areionによる置換機能
- テスト機能
- Areion論文に掲載のテストベクタとの一致性をテストします
- 計測機能
- cbp(cycles per byte)での計測を行います
- 暗号機能
- ライセンス
- MIT license
- 公開先
今後の展開
今後の展開は、今回の実装を世界中で広く利用されている暗号ライブラリであるOpenSSLに組み込むことで、より多くのみなさまにご試用いただけるように活動を進めます。
OpenSSLへの組み込みについては、7月に開催されるIETF117 Hackathonでチャレンジをする予定なので、そちらの様子も当ブログで発信してく予定です。
当社では、最新の暗号技術の実装からセキュリティを考慮したエンタープライズ向けシステム開発まで実施しておりますのでお気軽にお問合せください。